一人暮らしで、最大の固定費といえば家賃です。
地価が高いところにお勤めされている方は、勤務地までの交通の便がいいと家賃は上がるし、通勤が遠すぎても負担になってしまいます。
家賃を削って趣味や美容にお金をかけたい!という人もいるはずです。
私自身もそのタイプでした。そこで思いついたのが「友人と2人でルームシェア」。
友人とは20年来の付き合いで、ルームシェアルームシェアの相手としては問題ないと判断したのです。
二人とも几帳面ではないので、多少の汚れや散らかりは許容できると思っていました。
加えて、私があれこれと取り仕切る一方、彼女は一歩引いたところからアドバイスをくれるタイプだったので、うまく生活が回ると思っていました。
それに、これまでの付き合いの中で1回も喧嘩をしたことがないので、何かで揉めるということも想定しなかったのです。
お互い話し合いをすれば大抵のことは解決できました。
しかし、私の決断は3か月ほどで疑問に変わり、8か月後には別居を固く決意することになりました。
結局彼女との同居は1年8か月近く続いたのですが、なぜ上手くいくと確信していたのに賃貸契約の2年更新を待たずして別居に至ったのか。
この記事では、ルームシェアのメリットデメリット、またルームシェア向きの人とそうでない人のご紹介をします。
ルームシェアのメリット

苦い記憶となったルームシェアですが、もちろんメリットもたくさんありました。
通常のルームシェアであれば、ここをうまく伸ばして、快適な生活を送ることが可能でしょう。
何事もコスパがいい
まずルームシェアの最大のメリットは安い家賃で広い家に住めるということです。
家賃に同じ金額を払っても、一人ならユニットバスのところがバストイレ別の物件に住むことも可能です。
また、食費や光熱費なども折半することによって、節約が可能です。
2人で同じ部屋にいる時間が長ければ、それだけ1人当たりの電気代が少なくて済みます。
ネット環境もお互いが負担すれば半額で済むでしょう。
ここは一人暮らしよりも圧倒的メリットであると言えます。
二人以上なら心強い
女性の一人暮らしは防犯の面が不安という人も二人であればいざというとき心強いものです。
防犯以外にも、家具の組み立てや急な水漏れのような日常のことから、病気や災害の非常時なども助け合うことができます。
単純に楽しい
趣味の合う友達と住む場合など、一緒にDVDを見たり、遅くまでおしゃべりしたり、時間の区切りなく遊んでいられるのが魅力です。
また、料理を一緒に作ったり、掃除を同じ時間にすることで、家事も一人より楽しくできます。
ルームシェアのデメリット

気が合う仲間と一緒の毎日は楽しい一方で、やはりそこは他人です。
もちろんデメリットも発生します。
まず一般的なデメリットから紹介していきましょう。
衛生観念がずれていると最悪
衛生観念は、予想以上に重要、というより奥深い問題でした。
具体的に言うと、私の場合「物」が散らかっているのは気になりません。
しかし
「缶ビールやお肉のパックが空いた状態で冷蔵庫に入れる」
「棒アイスの棒を食べ終わった直後にテーブルの上に放置する」
「8割以上の確率で瓶やボトルのキャップが閉まっていない」
のようなことは予想外でした。
(個人的には「不衛生で耐えられない」というよりも「なぜこんなことをするんだ?」という驚きの方が強かったです。)
同居人があまりにもゴミをその辺に放っておくので、ほかの友人に相談したところ、
「幼児向け番組でもごみ捨て教えてるよ!子どもにも『ないないして』って言うとゴミ捨てるよ?」
と言われたので、自分が神経質すぎるのかという疑念は晴れました。
ここでポイントなのは、部屋のキレイ汚いという客観的な支店ではなく、「相手がどれだけ部屋に気を遣うか」を読み間違っているとイライラがたまるということです。
同じくらい几帳面、同じくらいだらしない、が一番いいのであって、片方に負担がかかる状態は関係の悪化につながります。
プライバシーに限界がある
きっちりパーソナルスペースを確保して、自分自身のことを管理できたとしても、不慮の事故などにより、ルームメイトに知られたくないことがばれてしまうことがあります。
例えば、突然家財が壊れたり、天井が崩落したり(実際に体験しました)したときに、1人では運べない重いものを急いで動かさなければならなくなった場合。
慌てていて、隠していたもの(人には見られたくないものがあるものです)をうっかり晒してしまうリスクがあります。
また、通話などもよほど広い部屋でないと聞こえてしまう可能性があるので、注意が必要です。
次は、少し変わった「デメリット」をご紹介します。
同居人の恋愛動向で生活が変わる
男女関係なく、「好きな人が自分のすべて」になってしまう人がいます。
同居人はまさにそのタイプで、恋人のためなら共同生活を営んでいることなどはどうでもよくなってしまうのです。
幸い「恋人連れ込み禁止」のルールを作っていたことと、同居人は遠距離恋愛をしていたことで、他人が入りびたるような事態にはなりませんでした。
ただ、ちょっと連絡がこないだけでひどく不機嫌になったり、その人のことしか考えられない上の空状態だったり、「この家にいない人」の影響で家の空気が沈むことなどが多くありました。
そして同居人が失恋をしたことで、一気に家の空気がよどみました。
不機嫌な人、沈んでいる人と四六時中一緒にいると、こっちまで引っ張られてしまいます。
また、その時に相談に乗ってあげても、こっちが別件で落ち込んでいる時には避けられることもあります。
何しろ「失恋したら全世界が終わる」と考えているような人にとって、他人の悩みなどどうでもいいのです。
どんなに仲が良くてもシェアNGなルームメイト
上記のように、私の同居人はあまり「他人と一緒に住む」ことに向いていないタイプでした。
しかし、彼女の性格はずっと前から知っていたはずなのです。
なぜ誤差が生まれてしまったのでしょうか。
予定が管理できない人
メリットの点で「同じ時間に掃除をする」ということを述べましたが、時間や曜日を決めておいても、それを守れないタイプであれば、同居は難しいでしょう。
当番制が崩れると、片方に不満がたまってしまいます。
ルームメイトが「他人」であることを忘れてしまう人
私はルームシェアを始める際に「せっかく友人が一緒に住んでくれるのだから、しっかりした生活をしよう」と決意しました。
掃除などは自分の部屋は後回しで、トイレなどの共有部分から手を付けるようにしていました。
しかし同居人はまず自分の部屋を片づけるばかりで、共用部分はあまりやらず、しかもかなり雑だったのです。
また、私の物を壊しても、ただ謝るだけですませてもらえると思っている節も多々見られました。
それがこの世で1つしかないものだったとしてもです。
つまり「相手がどう考えるか」という視点が抜け落ちて、「相手も自分と同じ感覚だろう」という悪い身内感覚で同居人は過ごしていました。
お互いがそれでいいならいいのですが、やはり他人は他人。
相手がどの程度のことを考えているか、掃除の仕方などを見れば分かるはずなのに、「やってもらって当たり前」に陥る人とは同居しない方が賢明でしょう。
「優しい」のではなく「自分にしか興味がない」人
親切にしようと干渉してくるタイプの人もいれば、ほどほどの距離感をもって接してくれる人もいます。
しかし、どちらにしろ「相手の立場を考えられる人」でなければ、一緒にいても辛さは増すばかりです。
他人のことには我関せずのくせに、自分の状況が悪くなると家の空気を暗くして態度も悪くなるような人は、「距離感を持っている人」ではなく自分のことで手一杯なだけなのです。
そこを勘違いしていたがために、私のルームシェアは失敗してしまったと言えるでしょう。
どうする?ルームシェアの解消方法

私が別居を決意したのは同居8か月後、完全に引っ越したのはその1年後になります。
引っ越し費用の工面などもあったのですが、なぜ解消までにこんなに時間がかかったのでしょうか。
相手に解消の説明をする
日々たまっていくストレスに、私の友人(同居人と共通の友人も含め)みんな別居を勧めました。
しかし転勤などの事情もなく、家財道具などもある状態でいきなり「解消したい」と言っても、相手が納得する気がしませんでした。
そもそも「あなたと一緒にいるのがしんどいので、解消しよう」というと、余計関係が悪化する可能性があります。
私の最優先事項は、一刻一秒でもストレスを感じる必要なく引っ越すことなので、引っ越しのめどがつかない限り関係の悪化は避けたかったのです。
私は家の名義人だったので、「今の物件のオーナーとのそりが合わない」という名目で「引っ越しを検討している」と切り出しました。
それには同居人も同意してくれました。あくまで彼女の非ではないということを強調したのです。
まずは相手を不審がらせない引っ越しの理由を見つけることがポイントです。
物件を決めた後に「解散宣言」
引っ越し資金にめどがついた瞬間に、引っ越しの内見に行きました。
そして物件の契約をしてから同居人に「この家を引っ越す」と告げました。
家の退去は、大抵一か月前に大家さんと不動産屋さんに告知となっています。
なので出ていくまでに最低でも1か月の猶予はあるのです。
同居人は突然のことに動揺していましたが、決まってしまったものは決まってしまったので、私はこのまま引っ越すことにしました。
お金のことはきわめて事務的に
同居人は「引っ越しのことは突然なので、家賃はしばらくの間払ってほしい」と言いました。
しかし、私にそんなお金はありませんでした。
というより、これまで被ってきた被害を考えると、なぜ私が住んでもいない家に、しかも私の名義で、彼女に物件を与え続けなければならないのかという怒りがわきました。
しかし、最大の目標は「ストレスのない引っ越し」です。
感情的にならず、引っ越しまでの道筋を立てる必要がありました。
私は賃貸借契約書(後述します)を熟読し、私がこの家の借主であること、そして敷金礼金を含むすべての初期費用を私が負担していたことを思い出しました。
怒りで我を忘れていたら、このことを順序だてて説明できなかったと思います。
「この家の借主は私で、敷金や保険料も払っている。
私が家賃を払うべきという意見も分かるが、それなら入居の際の初期費用も折半してほしい。
折半すれば、それがしばらくは家賃代くらいになるだろうから」
私がこう言うと、彼女はそれを承諾しました。
彼女に感謝するところがあるとしたら、論理的な話に耳を傾けてくれたところでした。
結局お互いが引っ越しを完了するのに1か月あれば十分だったことを考えると、私は相当ゆっくりと、ただ確実に「穏やかに引っ越したい」と思っていたのです。
もう、不満がたまったとしても、怒り狂ったところで仕方がありません。ストレス源からは、そっと立ち去るのが一番です。
上手にルームシェアをするには?

私のケースは悪いパターンでしたが、これからルームシェアを検討している方に押さえておいていただきたいことがいくつかあります。
それを最後にご紹介しましょう。
「賃貸借契約書」を熟読しよう
まず物件を借りる時に不動産屋さんで渡される「賃貸借契約書」の内容を、しっかり把握しておきましょう。
借主が誰になっているかで、その家に関する一切の権利が変わってきます。
私は自分が借主になることを申し出たために、不動産屋さん、物件のオーナーさんなどとの折衝をすべて自分で行いました。
書類上、私が「引っ越す」といえば、同居人は出ていかなければならない立場だったのです。
その代わり、退去の立ち合いなどは全て私が行うことになりましたが、自分で決定できる権利を持っているということは重要なことです。
お金だけでなく時間も折半しよう
食費や光熱費だけではなく、なるべく相手にかける時間も同じくらいの配分にしましょう。
掃除やアドバイスなど、自分だけが相手の世話をしていると思うと、不満がたまりにたまってしまいます。
「相手が掃除をしないから自分がしなきゃいけない」という事態を招かないことに越したことはありません。
ただいくら言っても改善しない場合は、もう「自分の為にやっているんだ」と思うようにしましょう。
それでも楽しかったルームシェア
なるべく「思いやり」の心をもって、なにごともほどほどにやるのが一番いいルームシェアのスタイルだと考えます。
ルームシェアには楽しい思い出もたくさんありました。
決してすべてが悪かったわけではないですし、同居人と過ごしてよかったこともたくさんありました。
ただ、自分がよりストレスなく生きられる方法を探したときに、解散となっただけの話なのです。
そして、これからルームシェアをする方には、なるべくストレスなく円満なシェアライフを送っていただきたいというのが、私の願いです。
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